サージセンター浜松が提供する
「全身麻酔短期入院手術」の適応基準について
当院では、安全な短期入院手術や外来手術を行うために、以下の基準を設けています。手術を受けるためには、これらの基準を満たしていること、また、患者さんご自身に基準を遵守していただくことが必要となりますのでご理解ください。
手術適応基準 健康に日常生活を送られている方が当院の手術適応となります。
下記に記載されている疾患で現在治療中、あるいは、過去に既往のある方は手術をお引き受けできない場合があります。
以下のいずれかに該当する方は、予め医師にお申し出ください。
・心筋梗塞
・狭心症
・不整脈
・ペースメーカー装着中の方
・脳塞栓・脳出血の既往のある方
・高血圧症で治療中にもかかわらず血圧が140/90 以上ある方
・糖尿病(インスリン治療中、またはHbA1c(NGSP)7.0 以上)の方
・人工透析中の方
・肝炎・肝硬変の方
・インターフェロン治療中(B 型C 型ウィルス性肝炎、悪性腫瘍、白血病)の方
・抗血栓薬を内服している方
・70歳以上の方
上記に該当しない場合でも、医師が適応範囲外と判断した場合、または、手術前検査の結果に問題があった場合には手術をお引き受けできないことがあります。
理想的な鼻の手術とは?
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痛みや恐怖を感じることなく手術が完了
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術後はごく短時間のうちに会話や日常の動作が可能
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早期に仕事や学校に復帰
これらすべての条件を満たす鍵が、 サージセンター浜松が提案する"安全な"全身麻酔短期入院手術(以下「全麻短期入院手術」)なのです。
“安全な”「全麻日帰り手術」とは?
「全麻日帰り手術」は、1980年台に米国で開発されて以来、全米で広く普及してきた治療法です。米国における日帰り手術発達の背景には、高額な医療費という社会的要因がありました。このため、術後の完全な回復を待たず患者をその日のうちに退院させてしまう日帰り手術が普及したといえます。
これに対し、日本では、患者側の医療費の負担は一部で済み、米国ほど高額ではありません。このため、例え手術が日帰りで行われても、退院後自宅で寝ていなければならないような状態では患者様にとって日帰り手術のメリットは少ないばかりか、かえって不安な状態をもたらすことになります。
「全麻日帰り手術」が、単にその日に退院できるという日帰りに止まらず、その真価を発揮するためには、それが安全に行われる必要があります。そして、そのような“安全な”「全麻日帰り手術」実現のキーワードが「短時間手術」なのです。
※心臓病、脳疾患、糖尿病など、重度の基礎疾患のある方は、当サージセンター浜松における日帰り手術および短期入院手術の対象とはなりません。
サージセンター浜松が「短時間手術」を実現させている理由
わが国における鼻の手術(たとえば副鼻腔手術)は、一般に局所麻酔を用い、片側2時間程度の手術時間、手術後1~2週間の入院を必要としています。
サージセンター浜松では、内視鏡手術の開発後間もない20年ほどから「全麻日帰り手術」への取り組みを開始しました。
その間、1万6千件を越える全身麻酔手術を通して手術技術の向上、手術時間の短縮、そしてより安全な手術への工夫を重ね、現在では、一側の副鼻腔手術を20分程度、また鼻中隔手術を10分程度で完了させるといった「短時間手術」を実現させています。
なぜ、サージセンター浜松では、このような「短時間手術」が可能なのでしょうか?
“高度な技術”、これはサージセンター浜松における治療の根幹をなす最も重要な要素です。しかしこれだけでは、「短時間手術」を実現することは困難です。もう一つの重要な要素、それは内視鏡下の鼻科手術に最適な"手術環境"を創り出していることです。
サージセンター浜松が開発した「内視鏡用吸引装置」
サージセンター浜松の鼻の手術には、「内視鏡用吸引洗浄装置」が使用されています。これは血液などによる内視鏡先端の汚れを取り除く目的で、1996年に黄川田が高研(株)と共同で開発(商品名:K-エンドシース)したものです。
鼻腔には血管が豊富に分布しており、鼻腔内の手術には出血が伴います。そのため、一般の内視鏡手術では手術を中断して頻繁に内視鏡表面の清掃を行わなければならず、出血の多い場合には手術を進めることさえ困難となります。
本装置は、内視鏡先端を常時自動的に洗浄する機能を有しているため、出血の多い術野の中でも内視鏡を鼻腔内に留置したまま"無駄のない継続的な手術"を行うことができます。
また射出される多量の加圧洗浄水により、内視鏡先端の洗浄に加え手術部位の血液も除去することができるため、血液で手術部位が覆い隠される状態の中でさえも“対象を見失うことなく手術を進める”ことができます。
明瞭な視界の確保、手術部位への的確なアプローチにより、内視鏡先端を対象に極限まで近接させ、0.5mm程度の神経や血管でさえもモニター画面一杯に拡大して映し出すことが可能になります。これが、内視鏡手術においても、顕微鏡を用いたときのようなミクロンレベルの"微細な手術"を可能にするのです。
このようにして、内視鏡先端に血液が付着するたびに内視鏡を鼻腔内から取り出して清拭しなければならない、内視鏡先端を対象から遠く離した状態で観察しなければならないなど、これまでの内視鏡手術の欠点を一掃し、多量の出血がみられる悪条件の中でも、手術を中断することなく、拡大した画像のもとで安全かつ継続的に手術を進められる"手術環境"が確立されているのです。
“高度な技術”、そして術者と内視鏡の持つ可能性を最大限に引き出すための徹底した"手術環境"の両者の存在が、無駄を排除した精緻な手術を可能とし、安全な「短時間手術」へと結びついています。